みなさまと共に歩む…… (*個人的な感想です)

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 社長の業務 ナンセンス・ファンタジー『毒ずきんちゃん 最終回 ポコペンな人々と王室の危機 プレゼントキャンペーン そして帰郷のこと』

キャンペーン 魔女が国中にポコペン病が蔓延するように魔法をかけてしまいました。ポコペン病というのは、意識していないのに、言葉の最後に変なことを付け加えずにいられないという、恐ろしい病気です。
 (馬鹿馬鹿しいとか言っている場合ではありません)
 王様は、ポコペンと言わずにいられなくなりました。毒ずきんちゃんは、どうしても、がちょーんと言ってしまいます。眠り姫は、必ず、はらほれひれはれと言ってしまいます。もっとも、姫本人は気に入っているようでもありました。
姫「これって面白いですわ、はらほれひれはれ」 

 中には、もっと甚大な被害を蒙っている人もいます。あるお医者さんは、どうしても「手遅れですな」と言ってしまうのです。
「先生、どうも風邪気味なんですが」「どれ、見てみましょう・・・手遅れですな」「えー!」「いや大丈夫、薬を出しておきましょう・・・手遅れですな」
 ある牧師さんは、「ナムアミダブツ」と言わずにおれません。
「天にまします我らが父よ・・・ナムアミダブツ」 
 ある教師は「お母さんによろしくね」と言ってしまいます。
「君は何でこんな簡単な問題が解けないんだ!・・・お母さんによろしくね」まるで、ヘンな下心があるみたいです。
 何かひとこと言うたびに旧約聖書を全文暗唱せずにいられない人も出てきました。この人は、朝「おはよう」と言ったきり寝るまでずっと暗唱し続けているという日々を送っています。
 ワンワンと吠えるたびにヒヒーンといななかなければならない犬、ヒヒーンといななくたびにコケコッコーと時を告げる馬、コケコッコーと時を告げるたびにホーホケキョと囀るニワトリ等、動物までが塗炭の苦しみを舐めています。

村人A「こりゃ、いったいどうしたことだんべ、アジャパー」
村人B「みんな、おかしくなっちまっただ、ふんだらべっちゃ」
村人C「いつから、こうなっただか、アノネおっさんワシャかなわんよ」
村人A「そういえば、王様が演説の時、やたらにポコペンと言っていただよ、アジャパー」
村人B「あれが、わしらにうつっただか、ふんだらべっちゃ」
村人C「王様に説明してもらいてえだ、アノネおっさんワシャかなわんよ」
村人A・B・C「お城に押しかけるだ!アジャパー、ふんだらべっちゃ、アノネおっさんワシャかなわんよ!王様に説明してもらうだ!アジャ・ふんだら・アノネおっさん・パー・べっちゃ・ワシャかなわんよ」
村人A「自分で何言ってるのかよくわからないだ、アジャパー」

 さて場面変わって、こちらは城。王様、お后様、大臣が話し合っています、ふんだらべっちゃ。(あれ?)
王「大臣、民の様子はどうじゃ、ポコペン」
大「非常に憂慮すべき事態になっております、てなコトおっしゃいましたかネ」
王「なんだと?ポコペン」
大「民の生活に重大な支障が出ているのであります、てなコトおっしゃいましたかネ」
王「出ているのか、出ていないのか、ポコペン」
大「出ているのであります、てなコトおっしゃいましたかネ。私も、このてなコトおっしゃいましたかネというのには参っているのであります、てなコトおっしゃいましたかネ」
王「よくわからんぞ、ポコペン」
后「王様、ですから、あれが大臣が言わずにいられない言葉なのですよ、スイスイスーダララッタ。ですから、お怒りになってはいけませんわ、スイスイスーダララッタ」
大「大変です、今入った報告によれば、民が城に向かって押し寄せてきて、今度の事態の説明を王様に要求しているとのことです、てなコトおっしゃいましたかネ」
王「そうは言っても、余にもわからんぞ・・・ポコペン・・・」

 頭を抱えた王様の部屋へ、その時、毒ずきんちゃんと眠り姫が飛び込んできました。
毒「まさかの時に毒ずきんちゃん!がちょーん」
姫「と、眠り姫!はらほれひれはれ」
王「おお、姫・・・と、誰だっけ、ポコペン」
后「姫は、前のように美しい姿に戻ったような気がしますわ、スイスイスーダララッタ」
 毒ずきんちゃんと眠り姫は、王様とお后様に、これまでのことを話しました。姫が魔女に魔法をかけられて黒い森で眠っていたこと、毒ずきんちゃんがキスして魔法を解いたこと、一緒にここまで旅を続けてきたこと、今まで姫になり代わっていたのは魔女だったこと、今度のポコペン騒動は魔女の仕業であること。
王「それで、わかった・・・で、どうすればよいのだ? ポコペン」
毒「わからん、がちょーん」
王「それでは、なんにもならんではないか、ポコペン」

 再び王様が頭を抱えたところへ、窓がばたんと開いて一陣の風が吹き抜けました。ふと見ると、風のあと、床の上に立っているのは風の小人でした。
風「月の蝶の翅の城が大変になっているって聞いて、やってきたんだ」
毒「よくわかったな、がちょーん」
風「風の噂ってやつだよ。ほら、ここに三つの願い事が叶う黄色い宝石を持ってきた」
 眠り姫が横から、
姫「まあ~!それがあれば、贅沢し放題ですわね、はらほれひれはれ」
毒「お前のために使うんじゃない!はらほれ・・・じゃなかった、がちょーん」
風「でも、その三つの願い事は僕が使っちゃったんだけどね」
毒「何にもならないじゃないか、がちょーん」
風「君たちが閉じこめられていたのを救うために使ったんだよ」
毒「マクベスの迷路の牢の時か、がちょーん。それで出られたのか、がちょーん」
風「でも、この宝石をよく見て。中に字が浮かび出ているだろう?」
毒「なになに・・・『ただいま、プレゼント・キャンペーン中、あなたの友達に願い事をひとつプレゼント』、じゃあ、もう一回使えるのか、がちょーん」
姫「わたくし、わたくし、わたくし・・・はらほろひれはれ」
毒「黙ってろ、がちょーん・・・でも、なにか呪文がいるんじゃないか?がちょーん」
風「大丈夫、心から願えば宝石は聞いてくれるよ」
毒「よし!宝石よ、今まで魔女が掛けた魔法と呪いを全て解いてくれ!」
 宝石が、まぶしいような強い光を放ちました。
 その途端、全ての人々のポコペン病が治りました。魔女が「一番美しいのはだあれ」というセリフで割った鏡が元に戻りました。どこかの池のほとりで、人間に戻ったカエル王子が呆然としていました。
 そして・・・ひらひらと木の葉が舞い落ちるようにして、城の窓から戻ってきたホウキに乗った魔女が・・・あの恐ろしい風貌が消えて、可愛らしい少女になっていたのです。

 それは、こういうわけでした。
 魔女の名前はディディというのですが、14歳になって故郷の村を出て、キキという幼なじみとともに人間社会に魔女の修行に出てきたのです。が、そこでディディとキキは同じ男の子を好きになってしまったのでした。
 男の子はキキを選びました。ディディは絶望し、怒りと悲しみのあまり、自分にこの世で最も邪悪で恐ろしい魔女になってやる、と呪いを掛けてしまったのでした。

 ディディは、もう悪いことは二度としない、と誓って故郷の村に帰っていきました。
 毒ずきんちゃんは、国を救い、姫を救った英雄と讃えられました。
王「どんなお礼でもしよう。なんでも申してみよ」
毒「お礼なんていらないさ。それより、あたしは姫の魔法を解いたんだ。だから、姫と結婚して王位を継げるはずなんだ」
 それを聞いていた大臣が、
大「残念ですが・・・この国の法律では、七歳で、しかも女の子は姫と結婚できません。ですから王位も継げないのです」

 毒ずきんちゃんは、たくさん御馳走してもらい、たくさんのお土産をもらいました。
 眠り姫は、この城にとどまって遊んでいけ、と言いましたが、毒ずきんちゃんは帰ることにしました。
 途中、マクベス城を通ってカグヤ姉さんに会いました。この城の王様になって欲しい、と言われましたが、それも断りました。
 風の小人の荒野を抜け、市場のある町を通り、カエル王子の池を過ぎ、黒い森の家にたどり着き、二階に昇ってベッドのある部屋に行くと、お父さんがイビキをかいて昼寝をしていました。
 毒ずきんちゃんは、お父さんに跳び蹴りを食らわせて、ベッドの向こうに落とすと、自分が入ってぐっすり眠りました。
 別に誰もキスしに来なくても、いいや、と思いました。

 それから、毒ずきんちゃんは、ちょくちょく月の蝶の翅の城やマクベス城や風博士や風の小人を訪ねていっては、楽しく遊んだそうです。なにしろ、ちょっと口笛を吹きさえすれば、魔女のディディがホウキに乗って迎えに来るので、どこへでも簡単に行けるのでした。
 こんなのが、毒ずきんちゃんの七歳の時のお話でした。
(おしまい)

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今週のおさむらいちゃん

新作37

これが忍者の真実なのだ。

社長の業務 ナンセンス・ファンタジー『毒ずきんちゃん その9 ローリング・サンダー・ソバット・バックブレイキング・・・墨染めの衣のこと』

社長1毒「ローリング・サンダー・ソバット・バックブレイキング・仏壇返し・スペシャル・ニューオリンズ風、受けてみよ!」
姫「ご主人様の必殺技が決まりましたわ!」
毒「オートモ王子、敵ながらあっぱれな戦いぶりだったぞ」
姫「あたら若い命を・・・魔女の手下になどなったばかりに・・・(すすり泣く)」
毒「せめて亡骸は手厚く葬ってやろう」
 その時、「ちょっと待て」という声がしました。オートモ王子の声です。
オ「僕はまだ生きている!」
毒「いまだに、オートモ王子の声が聞こえるようだ」
オ「だから聞こえているの!」
毒「強いやつだったが、あたしのウルトラ・バックブリーカー・エンサイクロペディア・カメハメ波・マルセイユ風の前にはひとたまりもなかった。勇者として讃えてやろう」
姫「さっそく銅像を作らせましょう。たしか、オートモ王子は、ひょっとこに似た顔でしたわね」
毒「お多福に似ていたんじゃなかったっけ」
オ「おい、僕らはまだ戦っていないじゃないか!勝手に話を進めやがって。第一、技の名前がさっきと違っているし」
毒「怒るな。済んだことだし」
オ「済んでなーい!だいたい、戦闘シーンというのは物語の山場なのに、こんないい加減に済まされてたまるか!」
毒「山場なら、まだマクベスとの戦いが控えているし」
 そこへ、マクベスがずいと出てきて、
マ「ふふふ、俺はカエル王子やオートモ王子のようにはいかんぞ」
 オートモ王子は慌てて、
オ「ちょっと待った。まだ、僕の出番が・・・」
マ「力と陰謀で王にまでのし上がった俺様だ。毒ずきん、この剣を受けてみるかね」
オ「あの、僕が先なんだけど・・・」
マ「ああ、オートモ王子の声が聞こえるようだ」
オ「だから聞こえてるって」
マ「仇はきっと取ってやるぞ。そして、勇者として讃えてやろうではないか。銅像を作ってやろう。たしか、彼はひょっとこに似た顔であったな」
 それを聞いて眠り姫は、
姫「あら、珍しく意見が一致しましたわね。善は急げですわ・・・ミケルアンジェロ! これへ」
 と眠り姫が呼んだのは、王室付きの彫刻家でした。
ミ「おん前に」
姫「ミケルアンジェロ、オートモ王子の銅像を作るのです。王室彫刻家の名に恥じないような像を。ひょっとこ似にね」
毒「お多福似だと思うがなあ」
ミ「そうおっしゃいましても、私は、その方の顔を存じないのでございますが」
姫「困りましたわね」
 姫と彫刻家が思案していると、横からオートモ王子が、
オ「だから僕はここにいるんだって!」
 それを見て、眠り姫はぽんと手を叩いて、
姫「そういえばそうでしたわ。ミケルアンジェロ、この方が当人です。さっそく、あなたのアトリエに連れて行ってモデルにしなさい」
オ「いや、彫刻なんかどうでもいいから、戦いの方を・・・」
 と嫌がるオートモ王子でしたが、ミケルアンジェロは普段から鑿や槌や重たい材料を扱い馴れているものですから、腕力が強いの強くないの、
姫「丁寧に作るのですよ。10年かかっても20年かかっても許します」
 こうしてオートモ王子はアトリエに幽閉されてしまいました。
毒「これで二丁上がり」
姫「影の薄い方でしたわ、お気の毒に」

 毒ずきんちゃんとマクベスは、向かい合って立って睨み合っていました。そして互いの呼吸を計っているようでした。もう、すでに随分長い時が過ぎています。
 やがて青白い顔の中の目が光ったかと思うと、マクベスがすらりと剣を抜きました。ですが、毒ずきんちゃんはじっと動かずにマクベスを見つめるだけです。
マ「どうした、抜かぬのか」
 マクベスは正眼に構え、じりっじりっと間合いを詰めてきます。
マ「剣を抜け」
 と再びマクベスは言いました。ですが、毒ずきんちゃんは、それを無視したかのように動きません。マクベスは少し考えていましたが、
マ「こやつ、居合いを使うと見える。俺が斬りかかったところを抜き打ちにするつもりだな」
毒「居合いなど使わぬ」
 と、やっと毒ずきんちゃんが口を開きました。(このあたり、日本の時代劇が混入していることをご了承下さい)
マ「では、どうして剣を抜かぬのだ」
毒「知りたいか」
マ「申してみよ」
毒「剣を持っていないのだ」
 マクベスが、がくっと軽くコケそうになりました。
マ「なぜ持たぬ」
毒「元から持っていない」
マ「では貸そうか」
毒「いらない。どうせあったところで、七歳の女の子に振り回せるものではない」
マ「では、ほかの飛び道具でも隠しておるのだな」
毒「何も持っていない」
マ「貴様、この俺様に丸腰で立ち向かおうというのか」
毒「そういうことになる」
マ「俺が貴様を斬ることなどたやすいぞ」
毒「そうかもしれんな」
マ「この剣を振り下ろすだけで貴様は真っ二つだ」
毒「うむ」
マ「いいのか」
毒「良くはないが、そうなるかもしれん」
マ「なぜ、そんなに落ち着いている」
毒「別に落ち着いているわけではない」
マ「斬られると痛いぞ」
毒「そうだろう」
マ「血が出るぞ」
毒「当然だ」
マ「首が飛んだり、腕が転がったりするかも、だぞ」
毒「まあな」
マ「言っておくが、俺は血も涙もない男だ。七歳の女の子でも平気で殺すぞ」
毒「知っている。あたしを迷路の牢に放り込んだんだからな」
マ「そ、そうだったな」
毒「忘れやしないさ」
マ「言っとくけど逃げるなら今のうちだぞ」
毒「逃げない」
マ「ちょっと目をつぶるから、その隙に逃げられるかもしれんぞ」
毒「だから、逃げないって」
マ「もう一度言っておくが、俺は今まで大勢の人間を殺してきたんだからな」
毒「聞いている」
マ「その中には、子供だっているんだからな」
毒「そうかもしれん」
マ「戦争となれば、もう男は殺し女は犯し、子供は殺すか売り飛ばす。俺は、そういう世界で武勲を立てのし上がってきた男なのだぞ」
毒「わかっている」
マ「逃げたくなったか」
毒「逃げない」
マ「戦場は狂気だ。人が狂うのではない、狂気が人の影をまとうのだ。いったいどれだけの血を流したことか。今でも、夜になると枕元に俺が殺したもの共が現れる。俺は悪夢の中で剣を振り、そいつらの首を刎ねる。だが、俺が殺した人間など幾ら何人いるかわからない、繰り返し繰り返し現れてきては、恨みがましい目で俺を見つめる・・・呪われた人生だ・・・」
 そこまで言うとマクベスは剣を捨てて、下を向いて顔を覆ってしまいました。そして、魔女を振り向いて、
マ「魔女様・・・お許し下さい。私は出家します」
魔「はあ?」
マ「私には、この子は斬れません。この子の淡々とした態度を見ていたら、初めて人を斬ることが恐くなってきました・・・私は、私が殺めた者達の菩提を弔うため、回国行脚の旅に出ます・・・頓証菩提、南無阿弥陀仏・・・生者必滅会者定離・・・旅の衣は墨染めの・・・」
 何やら謡のようなものを歌いながら部屋から出て行ってしまいました。
魔「あいつ仏教徒だったのか?」
姫「まあ、この場面ではアーメンよりも南無阿弥陀仏の方が似合いますわね」

 一同、白けかえって黙っておりましたが、急に魔女の目が赤い光を放ち、
魔「おのれ、毒ずきん、わしの家来を三人まで倒しおって。こうなったら、この国を大混乱に陥れてやる」
 と叫ぶや、ホウキに跨って窓から飛び出し、
魔「この国にポコペン病を蔓延させてやる!」
 と呪いを掛けました。王様が言葉の最後にポコペンと言わずにいられなくなった恐ろしいあの病気です。
 毒ずきんちゃんと眠り姫は窓から魔女が飛び回っているのを眺めながら、
毒「ポコペン病だってさ・・・がちょーん」
姫「ご主人様、がちょーんって何ですの、はらほれひれはれ」
毒「がちょーんなんて言ったか? がちょーん。お前こそ、はらほれひれはれって言ったぞ、がちょーん」
姫「あら、わたくしがそんなことを言うはずがございませんわ、はらほれひれはれ」
 さて、いよいよ次回は最終回。魔女との対決やいかに。
(つづく)

今週のおさむらいちゃん

新作36

ひさしぶりのおさむらいちゃんだよーん。ひさしぶりなのに、ぜんぜんリキ入ってないし。ま、こんなもんでしょ。

社長の業務:ナンセンスファンタジー『毒ずきんちゃん その8 民の王を見る目 まさかの時に毒ずきん そして両生類との死闘のこと』

社長1 ここは眠り姫の生まれた月の蝶の翅の城です。眠り姫の父王が治める国は、小さいながらも豊かで平和で人々は穏やかに暮らしておりました。
 その一室で、王様とお后様が何か話をしています。
王「后。最近どうも国の中が何やら落ち着かないように思えてならぬのだが。ポコペン」
后「そうでしょうか。王様は民を愛し、民は王様を尊敬し、民同士は睦み合っていると思いますわ」
王「だが、民の余を見る目が以前と違っているように思えてならぬ。ポコペン」
后「王様、今、なんとおっしゃいました?」
王「だから、民の余を見る目が・・・」
后「いえ、一番最後でございます」
王「最後? 別に何も言わぬぞ、ポコペン」
后「それならよいのですが」
王「后は、何か聞こえたか」
后「いえ、わたくしの聞き間違いでしょう」
王「気になる。なんと聞こえたか申してみよ、ポコペン」
后「いえ、なにか最後にポコペンとおっしゃったような気がしたものですから」
王「ポコペン? 余がそのような馬鹿げたことを言うわけはないではないか、ポコペン」
后「そうですわね」
王「はっはっは。ポコペン」
后「言った」
王「へ?」
后「今言った、ポコペンって」
王「余がポコペンと? ポコペン・・・あれ?」
后「言ってる、確かに言っている」
王「ポコペン。本当だ、ポコペン。確かに、ポコペン・・・余は別に言おうと思っているわけではないのに、勝手に出てくるのだ、ポコペン・・・そういえば、前に余が民に向かって演説をした時から、どうも変な感じがしておったのだ、ポコペン。あれは、民がポコペンを聞いて戸惑っておったのかもしれん、ポコペン・・・」
后「実はわたくしも、ひとつ気になることがありますの」
王「なんじゃ、ポコペン」
后「姫のことでございますわ。あの美しく可愛らしい姫が、どうも最近、目は怪しくにごり、口は耳まで裂け牙が生え、鼻は口元まで垂れ、髭まで生えているような気がいたしますの」
王「まさか、ポコペン。それじゃ、まるで魔女ではないか、ポコペン」
后「王様のポコペンといい、姫といい、魔女がこの国によからぬ魔法でもかけているのではないでしょうか」

「わっはっは、この国によからぬ魔法をかけてやったわい」
 という高笑いが姫の部屋から聞こえてきました。笑いの主は、姫の部屋で姫のドレスを着て姫のソファに腰掛けているのですが、その顔は魔女でした。
魔「まず、わしを嘲笑った姫に魔法をかけて黒い森の奥で眠らせてやった。そして、わしが姫に化けて城の中に居座っているのじゃ。家来ども、よく化けたものだと思うじゃろうが」
家「そ、そうですね・・・」
 と、部屋の隅にいた三人の家来が仕方なさそうに返事をしました。よく見ると、この三人というのは、なんと第二回に出てきたカエルの姿をした王子、第三回に出てきた眠り姫にドラゴンの宝石を取ってこいと言われてひどい目にあったオートモ王子、そして、前回出てきたマクベス王でした。
毒ずきんちゃんと眠り姫のためにひどい目にあった三人は、魔女の手下になって仕返しをしてやろうと思ったのです。
魔「そして王を、言葉の最後にポコペンと言わずにおれないポコペン病にしてやった。いずれ、人民の中に王はアホではないかという疑惑が拡がり、その支持を失うであろう。その時、わしが王を退位させ幽閉する。そして、女王として後継者となるのじゃ。この国では二十歳にならぬものが王位を継承した場合、摂政を置かなければならぬとされているが、お前たち家来を摂政にしてやってもよいぞ」
カエル「それは、有難き幸せ」
オートモ「先生、質問があります」
魔「なんじゃ」
オ「魔女様はどう見ても百歳は越えているように見えるのですが」
魔「わしじゃない。あの眠り姫が17歳なのじゃ」
マクベス「あの姫が17歳? あの根性のひん曲がった、王様友の会の会計を私物化している姫が17歳?」
魔「まあ、性格だけ見れば、どう見てもお局様か大年増なのじゃが事実だから仕方がない。だが、その姫も黒い森の奥じゃ。キスをするものが現れなければ、眠りからは覚めないのじゃ」
カ「魔女様、お言葉を返すようですが、眠り姫はとっくに眠りから覚めていますよ。黒い森に住む毒ずきんという女の子にキスされてしまったんです・・・ちくしょう、俺もしたかったなあ」
魔「なんじゃと、今はどこにいるのじゃ」
マ「先週は、元の私のマクベス城に現れましたな」
魔「なに? すぐそばじゃないか! 魔法の鏡を持て。今、どこにいるのか占ってやろう」
 三人が大きな姿見を運んできました。魔女は鏡に向かって、
魔「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ? わ・た・し?」
 と聞きました。ぴしっと音を立てて鏡が割れました。
カ「魔女様、そんな質問するからですよ」
魔「どうも、鏡を前にするとこれをやらずにはおれなくってな。新しい鏡を持て」
 新しい鏡に毒ずきんちゃん達の居所を訊くと、鏡の中に城の像が浮かびました。
カ「何処かの城にいるようですな」
オ「見たことがあるような城ですな」
マ「月の蝶の羽の城によく似ていますな」
三人「あ、道理で見たような城だと思った。ははははは」
魔「笑っている場合じゃなーい! ここじゃないか!」
 
 その時遅くかの時早く、高らかな笑い声が部屋の中に鳴り響きました。
「はははははははは」
魔「な、なにやつ」
毒「まさかの時に毒ずきんちゃん!」
姫「と、眠り姫!」
 二人、カーテンの影から颯爽と登場。
毒「やいやい、てめえら。悪巧みはみんな聞かせてもらったぜ。もう逃れられねえ、観念しろい。神妙にお縄を頂戴しやがれ!」
(画面にタイトル『毒ずきん捕物帖』、テーマソング流れる)

♪すっちゃか すちゃらか・・・

♪女だてらに十手を持って
 悪はあたしが許さない
 ちっちゃなからだで 毒ずきん
 八百八町を駆け抜ける
 
♪男心を手玉にとって
 捕り物に咲く 花一輪
 娘盛りよ 眠り姫
 明日もお江戸は日本晴れ
 
 じゃ~ん・・・

 歌い踊る二人を、魔女達は呆然と眺めておりましたが、はっと我に返って、
魔「曲者じゃ! 出会え、出会え、出会え!」
すると、カエル王子が一歩前に出て、
カ「魔女様、こんな奴らは私一人でたくさんです」
 そして剣を抜き放ったかと思うと、
カ「毒ずきん、お前のキスのお陰で俺は人間の姿に戻れなくなってしまったんだ。この恨み、倍返しだ!」
 と、何処かで聞いたような台詞を言いましたが、
毒「ちょっと待て。お前、あたしにばかり恨みを持っているみたいだが、そもそも、お前をカエルの姿に変えたのは魔女だろう?」
カ「・・・・・・あれ?」
 カエルは考え込んでしまいました。深い沈黙があたりを包みます。さっきまで大騒ぎしていただけに、その静けさが余計に際立ちます。
カ「そういえば、そうだ」
 一生懸命、第二回のことを思い出していたカエルが言いました
毒「じゃあ、まず魔女の恨みを晴らすのが先だろうが」
カ「いやあ、全くおっしゃる通り」
 カエルがおそるおそる魔女の方を振り返ってみますと、その濁った目が今はらんらんとした真っ赤な光を放っているのと視線がまともにぶつかってしまいました。
カ「ありゃあ、まさに前門の毒ずきん、後門の魔女、そして、あたしゃか弱いカエル・・・とても、かなうわけがございません!」
 と言うや、ぴょーんと飛び跳ねて窓から外へ逃げて行ってしまいました。最後に遠くの方から、ぽちゃんという水音が聞こえました。
毒「これで一丁上がり」
魔「なんの、まだわしの家来は二人おるぞ」
 そうです。ドラゴンに戦いを挑んだこともあるオートモ王子、そして勇猛にして残忍と言われたマクベス、二人の強敵に毒ずきんちゃん達はいかに立ち向かうのでしょうか。さらにその背後には魔女が・・・。
手に汗握る次回を待て!
姫「なんだか、馬鹿馬鹿しい戦いになりそうですわね」
(つづく)




社長の業務 ナンセンス・ファンタジー『毒ずきんちゃん その7 迷路の牢の恐い話 人間離れした両親 そして動き出したバーナムの森のこと』

社長1 何が起きたのか、毒ずきんちゃんと眠り姫はわかりませんでした。ともかく、二人の前には、崩れた牢の壁と、そこから覗く森の光景がありました。

 迷路の牢で、二人は生まれて初めて絶望感を味わっていたのです。この図々しい二人でも、絶望感を味わうことがあるのです。
 というのも、迷路の第一区から第八区まで連れられてくる間、番兵のほかに『この牢から出るのがいかに不可能であるか、噛んで含めるように説明する係』が付いていたからです。
 第一区から第八区までの、それぞれの係は、それぞれに、いかにこの牢が恐ろしいところであるか、もはやこの迷路の全貌は何人によっても解き明かされることがないということ、今まで投獄された人がどのように脱出を試みたか、そして、虚しく、かつ残酷な死を遂げたことか、を競うかのように語りました。
「いや、師匠、今日の語りは、また一段と素晴らしかったですね」
「聞き慣れた、あっし達でさえ鳥肌が立ちましたよ」
 などと、番兵達から賞賛されている者もいました。
 毒ずきんちゃんは、それを聞きながら、
毒「あたしは、まだ七歳なのに、なんでこんなところで死ななければならないんだろう。それも、わけのわからん両親に追い出されて始めた旅なのに」
 と思っていました。眠り姫は、
姫「会費、会費、会費、会費、マクベスのヤロー、王様友の会の会費も払わないで、わたしを殺すなんて許せねえ。化けてやる、祟ってやる、呪ってやる・・・」
 と思っていました。さすが会計係です。

 それが、今、いましめを解かれて、目の前に森への出口があります。
毒「これがバーナムの森か」
姫「そう。あのマクベスの馬鹿野郎・・・いえ、マクベス王が口にしていたバーナムの森ですわ。魔女が何か言っていたという」
 ともかく開かれた以上、なぜ開かれたのか、とか、そこが恐ろしい森であるかどうか、など考えている暇はありません。二人は地面に飛び降りました。厚いコケの上をよろよろしながら、歩きました。
 ここも、黒い森に負けず劣らず陰気な森でした。いや、マクベスの悪意がもたらす瘴気が籠もっているせいか、もっとやりきれない感じがしました。
 そのうち、かさかさ、と地面を動くものの気配がありました。二人が立ち止まると、小動物のような影が、足下をさっと通り過ぎていきました。 
毒「なんだろう。何かの動物かな」
 と毒ずきんちゃんが、あたりを見回していると、眠り姫が「あーっ」と声を上げました。
毒「どうした」
姫「今通り過ぎた者が、わたくしのドレスについている宝石をひとつ、ちぎって持っていきましたわ」
毒「いいじゃないか。そんなにたくさん、ちゃらちゃら付いているんだから。いっそのこと、お前ごと持っていってもらえばよかったのに」
姫「ご主人様とあろうお方が、家来の危難に、もっと心配して下さってもいいじゃありませんか」
毒「お前、家来の癖に、一回もあたしの言うこと聞いたことないじゃないか」
 そんなことを言い争っているうちに、また、小さな影が走り寄ってきて、姫の宝石を一粒持っていきました。
姫「ぎゃーっ」
 毒ずきんちゃんは家来の叫びを聞きもせず(聞く気にもならず)、小さな影のあとを目で追っていましたが、
毒「おい、向こうの方に、人間だか動物だかわからないが、動く影がいっぱい見えるぞ」
 毒ずきんちゃんは、そちらの方に歩き出しました。眠り姫も、もちろん宝石を取り戻してやろうとついてきます。
 森の奥から子供達のはしゃぎ声が聞こえてきました。動き回っているのは、人間の子供のようです。近づいていこうとすると、
「お待ち」という鋭い女の声がしました。ふと見上げてみると、猟師のような服装をした背の高い少女が弓矢を持って、二人を狙っています。「お前たちはなんだ。ここへ何をしに来た」
毒「あたしは毒ずきんちゃん。黒い森から来た。へんてこな両親に追い出されて、今、月の蝶の翅の城に向けて旅をしている途中、マクベスに捕まってしまったのだが、抜け出してきたんだ」
 少女は、しばらく黙っていましたが、弓矢を降ろすと、「毒ずきん・・・あたしの妹・・・間違いない、その毒々しい色の頭巾」と涙ぐんだ声で言いました。毒ずきんちゃんは、びっくりして、
毒「ね、ねえさん?最初に家を追い出されたカグヤ姉さん?」

 カグヤと呼ばれた少女は、毒ずきんちゃん達の両親が後先考えずに作ってしまった百人兄妹の長女で、両親から「ちょっと多すぎる」という理由で追い出されたのでした。その後、「まだ多すぎる」という理由で子供達は、どんどん追い出され、ついには末っ子の毒ずきんちゃんも「あいつ、嫌いなんだよな」という理由で追い出されたのです。
 落ち着いて見回してみると、あたりには顔を知った子供が大勢いました。そのはずです。追い出された子供達は、あちこち彷徨っては、みな、このバーナムの森に集まってきていたのです。つまり、毒ずきんちゃんの兄妹だったのです。
毒「なんだか、百人以上いるように見えるんだが」
カ「そう。あの後、お父さんは、しばらく森で迷子になっていたんだけど、どうにか家に帰り着いた途端、前にも増してすごい勢いで子作りに励み始めて・・・」
毒「それは、コウノトリさんが大変だったろうな」
カ「・・・そういうことにしておきましょう(微笑)・・・それで、作るわ、作るわ、三日に一人は生まれるという始末、一度なぞは、朝昼晩に作るという記録を打ち立て、ギネス国の役人が世界記録ではないかと調査に来たという・・・」
毒「コウノトリさん、働き過ぎだよ」
カ「そういうことにしておきましょう。そして、それを片っ端から追い出したもんだから、またギネス国の役人が『追い出した部門』でも世界記録ではないかと調査に来て・・・本当に人間離れした両親よね」
毒「あたし達は両親を誇るべきなんだろうか」
カ「恥ずかしがるべきかも知れないわね。それはともかく、追い出された兄妹達がみんな、このバーナムの森に逃げてきたもんだから、大騒ぎだわ。子供達を抱えて森で暮らしていくのは大変」
 毒ずきんちゃんは、しばらく考えていましたが、
毒「よし、兄妹達に城をひとつあげよう。姉さん、みんなに木の枝を両手にかざすように言ってくれ。両手だけでなく、頭にくくりつけたり、背中にくくりつけたり、出来るだけ多く。大きい子は大きい枝を、小さい子は小さい枝を。出来るだけ葉の多い枝を。そして、あたしが合図をしたら、一斉に、あのマクベス城に向けて歩き出してくれ」

 一方、こちらはマクベス城内。マクベス王が部下に何か命じています。
マ「いいか。ラーメン3つに、タンメン2つ、チャーハン2つに、レバニラ炒めとギョウザをひとつずつ、ラーメンはひとつはネギを多めに、ひとつはネギを入れずに、ひとつはシナチクを多くするのだ。すぐに持ってこい。わかったな」
部下「ええと、ラーメン2つにワンタン麺3つ・・・」
マ「ちがう!この役たたずめ。役人!こいつを迷路の牢へぶち込んでおけ」
 すると役人が「ああ、今日も忙しい」と言いながら、その部下を牢へ連れて行きました。そこへ、別の兵隊が走ってきて、
兵「国王陛下に申し上げます。森が動いています」
マ「盛りそばじゃない!ラーメンだ!役人、こいつも迷路の牢にぶち込んでおけ!」
兵「違います、陛下。外を御覧下さい。バーナムの森が城に向かって動いてくるのです」
マ「そんな馬鹿な・・・貴様、嘘だったら死刑だからな!」
 ただでさえ青白いマクベスの顔が一層白くなったようでした。憎々しげな顔で窓に向かうと、
マ「おお、どうしたことだ。絶対にあり得ないことが起こっておる。魔女め、森が動くと知っておったのか?俺の破滅を?」
 すると、後ろから「ありゃあ、動き出しちゃったねえ」という声が聞こえました。振り返ると、毒ずきんちゃんと眠り姫が立っています。
マ「お前ら、迷路の牢に閉じこめられたのではなかったか」
毒「ああ、入っていたよ。恐いところだねえ」
マ「あの牢から脱出するのは不可能なはず」
毒「さあ?バーナムの森が動き出すくらいだから、出てこれるやつがいたって不思議じゃないね」
マ「くそう・・・役人!迷路の牢だ!すぐに!」
 すると役人は「あー、忙しい忙しい」と言いながら走ってきて、「はいはい、今度は王様ですね。わかりました、わかりました」とマクベスを連れて行ってしまいました。

 こうして、城は毒ずきんちゃんの兄妹のものになりました。マクベスの部下だった者達には、城に残りたいものは残るように、家に帰りたいものは帰るように言い渡されました。
 カグヤ姉さんは、
カ「毒ずきん、勇気も智恵もあるお前に王様になってもらいたいんだけど」
毒「あたしは、月の蝶の翅の城に行くんだ。そこで王様になったら、またここへも戻ってくるかもしれないよ」
 こう言って、毒ずきんちゃんと眠り姫は、再び旅立ったのでした。目的地はもう間近です。
姫「ちっ、会費取り損ねたぜ」
(つづく)


 
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文豪堂

Author:文豪堂
いらっしゃいませ。中川善史(自称社長)と金井哲夫(自称編集局長)が2人でしこしこ書いているふざけた電子書籍本を販売する「蕪」式会社文豪堂書店です。(社名は予告なく変更することがあります) (なおこれは個人の感想です)(効能を保証するものではありません)(おだてると調子に乗ります)

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