みなさまと共に歩む…… (*個人的な感想です)

今日のおさむらいちゃん

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わっかるかなー?

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妖怪だぞー!

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今日のおさむらいちゃん

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おさむらいちゃん、危機一髪!

今日のおさむらいちゃん

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今日のおさむらいちゃん

新作77

世紀の大発明なんだけどねー。

今日のおさむらいちゃん

新作74

切腹の正しいやり方、知ってる?

今日のおさむらいちゃん

新作73

まあ、そういうものでしょう。

今日のおさむらいちゃん

新作72

江戸時代は大変だったのね。

今日のおさむらいちゃん

新作71

最後まで書けないのなら、書かなくてよい。で許してくれたらいいのにね。

今日のおさむらいちゃん

新作70

ホントでもウソでも、悪い亀に騙されたね。

今日のおさむらいちゃん

新作69

言わなきゃわかんないのかよ! みたいな。わかれよ! みたいな。

今週のおさむらいちゃん

新作68

日本人がすごい! じゃなくて、その人がすごい! と言うべきよね。

アクション純文学シリーズ 第五弾 『大河童の逆襲』



「がおー!」
 街に突然、巨大な河童が出現した。
 大河童はのしのしと歩きまわりながら街を破壊していく。
「大河童だー! 逃げろー!」
 人々は安全な場所を求めて逃げ惑う。
 そのとき、一台の戦車が現れた。地球防衛隊だ!
 バーン!
 戦車はいきなり大河童めがけて大砲を発射した。
 弾は大河童の腹に命中し大きな穴が開いたが、大河童は手で頭の皿をなで、手に付いた水を穴のあたりにつけると、あら不思議、穴はみるみるふさがり、傷が治ってしまった。
「隊長、やっぱり頭の皿の水で傷が治っちゃいますね」
 地球防衛隊の戦車の中で、大砲を撃った隊員が、ハッチから身を乗り出し様子を覗っている隊長に言った。
「うーむ、前回と同じか。では今度もアッカーパットで倒してやろう。戦車をできるだけ大河童に近づけるんだ」
 隊長はそう命令した。前回、大河童が出現したときは、隊長の機転で大河童の下顎に大砲を打ち込む作戦が功を奏した。
 隊長はこれを「アッカーパット」と呼んでいた。河童だからアッカーパットが効くのだと隊長は言っていた。「カッパ」と「カーパ」が似ているからだ。それ以上でもそれ以下でもない。ただそれだけの理由だ。しかし、隊長にはそれで十分だった。そこに意味があった。
 だが隊員は、もしかして「アッパーカット」の間違いなのではないのかと気になった。隊長は子供のころからずっと、アッパーカットをアッカーパットと間違えて覚えてしまっているのではないのか。地球防衛隊の小さな戦車の中で運命をともにする親密な仲だからこそ、間違いを指摘してやるのが礼儀ではないのかと思い悩んだ。
 しかし黙っていた。もし隊長が間違いに気づいて「アッパーカット」に訂正してしまっては、「カッパ」との微妙なつながりがなくなってしまう。それではカッパには効かなくなってしまう。
 ここは、地球の平和のために「アッカーパット」で押し通すしかないと、隊員は自分を納得させたのだった。
 隊長に命じられ、隊員は戦車を大河童に近づけようとしたのだが、逃げてくる人や車で道が大混雑して、戦車が前に進めない。
 そうしている間も、大河童は高層ビルを叩き壊し、ガスタンクを踏みつぶし、石油コンビナートを蹴散らしていった。街は炎に包まれた。
 それだけではない。大河童は口から猛烈な勢いで水を吐き出し、街を水浸しにしていった。
 戦車の小さな窓からその惨状を見て、隊員は隊長に言った。
「隊長、上は大火事、下は大水なーんだ?」
 突然のなぞなぞに隊長は戸惑った。
「え? うーん。えーっとね」
 隊長は考え込んだ。考えながら戦車の中に体を戻し、ハッチを閉めた。隊員はその様子をニヤニヤしながら見ている。
 隊長が考えている間、戦車の中は静まりかえった。ずどーん、ずしーんと大河童が暴れる音だけが響いてくる。
「あ、わかった。お風呂!」
 隊長は答えた。
「ぶぶー」と隊員は嬉しそうに言う。
「お風呂は上が大水で下が大火事ですー」
「ああ、そうか。えー、なんだろう。わかんないわかんない」
「答はね……」と言いかけた隊員を制して、隊長が言った。
「あー言うな。考えてるんだから」
 隊長は腕組みをして天井を見上げて考えた。また静かな時間が流れる。
 ずどーんずしーん、と戦車が揺れる。ときどき、ドカーンと遠い爆発音も聞こえてくる。
「隊長、ここにいたらみんなの邪魔みたいですよ」
 隊員は窓の外を見て、のんびりした声で言った。大勢の人や車がこちらに向かって走ってくる。その向こうに、燃えさかる街と、暴れ回る大河童が見えた。なぞなぞをやっている間に、大河童は街を破壊しながら、ずいぶん遠くに行ってしまった。
「なんだかみんな、あっちから走ってきます」
「どうしたことだ?」
「さあ」
「そんなことより、やるべきことがあっただろう」
「はっ! そうでした、隊長」と、隊員は砲座に座り直し、トリガーに手をかけて大砲の照準を覗き込んだ。
「えーとね。お風呂じゃないくてねー」
 あ、そっちか、と隊員は体の力が抜けた。再びなぞなぞが始まり戦車の中が静かになると、今度は外からプープーと車のクラクションが聞こえてきた。
 隊員が窓を覗くと、道の真ん中に停車している戦車が邪魔になって、車が渋滞している。
「なんか迷惑そうですよ。隊長、戦車を移動させましょう」
「え、そうなの? じゃあ駐車場に入れよう」
「わかりました。近所の駐車場を探します」
「あのね、わかってるとは思うけど、ミツル駐車場はダメだよ」と隊長は言った。
「ミツル、ですか?」
 隊員は操縦席に座わり直しながら聞き返した。
「そうだ、ミツル駐車場はいつもいっぱいで入れないんだ。だから私は、ソラ駐車場を利用してる。ソラ駐車場を探すといい」
「ソラ、ですか?」
「ミツルとソラは日本全国に展開してる駐車場のチェーンだ。知らんのか」
「はあ、そうなんですか」
「ミツルはたいてい便利なところにある。駅や集客施設の近くだ。そうした場所から少し離れると、ソラ駐車場が増えてくる。私などは、少し歩いてもいいと思うから、いつもそっちに入れるよ」
「へえー」
 隊員は半分聞き流しながら、小さな窓から外を見ながら戦車をゆっくり走らせた。
「日本の駐車場二大勢力なのだが、ミツルのほうが立地もいいし、当然、稼働率も高い。ミツルが空いているのを見たことがないからな」
「隊長、詳しいですね」と隊員は小窓から目を離さないままで言った。
「いや、お前より少し長く生きているというだけのことだ」
「あ、ありました。あそこに入れましょう。『空』ってなってるから」
「クウ? ああ、ソラね。まったく、笑わせるなキミは」
 隊長は呆れて笑った。
 そのとき、隊員の目の前の霧が一気に晴れた。
 隊員はすべてを悟った。隊長は駐車場の入口にLED表示板で示される空車の「空」を「ソラ」、満車の「満」を「ミツル」と言っていたのだ。
 これは冗談なのだろうか、自分をからかっているのだろうか、と隊員は訝った。冗談ならば、相手がそうと気づいて笑ってくれなければ意味がない。だから、ここらで「冗談だよ」というサインがあってよさそうだ。しかし何もない。
 本当に勘違いしているのだとしても、妙に話の筋が通っている。誰にも指摘されなければ、このまま一生通してしまうだろう。隊長という人の奥深さを感じずにはいられない。
 戦車は駐車場に入った。戦車は大きいので、ゲートとその両脇のフェンスと、入口の脇に置かれていた清涼飲料水の自動販売機をなぎ倒した。
 通路の奥に1台分だけ空いているスペースをみつけた隊員は、そこへ向けて戦車を走らせた。戦車は幅が広いので、通路の両脇に駐車していた車を両方の無限軌道で踏みつぶしながら進んだ。
 駐車スペースの前まで来ると、隊員は戦車を方向転換してバックで入れた。そのとき、スペースの両脇に駐車していた車を踏みつぶした。
 しかし、「前向き駐車」という看板に気づいた隊員は、慌てて戦車を出し、もう一度方向転換した。このとき、さらに4台ほどの車を踏みつぶした。
 やっと駐車スペースに戦車を停めた隊員は、エンジンを切り、「ここなら誰にも迷惑はかけませんね」と言いながら操縦席から立ち上がった。
「うん」と隊長は隊員には顔を向けずに答え、ちゃぶ台の上のリモコンを拾い上げてテレビをつけた。
 テレビでは、大河童が街を破壊する様子が実況中継で写し出されていた。
「お」
 隊長が小さく言った。
 隊員は操縦席から離れ、隊長の隣に立ってテレビの画面を覗き込んだ。
「今撃ったら、テレビに映りますかね」と隊員は隊長に聞いた。
「うん」とテレビ画面から目を離さず、隊長は生返事を返した。
「撃ってみましょうよ」と隊員は隊長をせかす。
「届かないよ」
「そうかなー。でも、撃ってみていいですか?」
「いいけど」と隊長はちゃぶ台の菓子鉢に一枚残っていた煎餅に手を出しながら答えた。
「じゃ、撃ちまーす!」
 隊員は勢いよく立ち上がり、そそくさと砲座に座り、遠くの大河童に照準を合わせると、バーンと大砲を発射した。
 次の瞬間、テレビの画像がちょっと乱れて真っ黒になった。
「あ」と隊長が小さく言うと、少し遅れて、遠くからドカーンという鈍い着弾音が響いてきた。
「やっぱり届きませんでしたー」と隊員は言い、ニヤニヤ照れ笑いをしながら砲座から離れ、隊長の斜め前に正座し、ちゃぶ台に両肘を付いた。
 そして、真剣にテレビの画面を見つめる隊長に気づき、隊員も画面に目をやった。
 すると、それまで真っ黒だった画面が切り替わった。大河童の中継ではなく、報道部の中の緊迫した様子が映し出された。手に原稿用紙を持ったアナウンサーは、耳に入れたイヤホンが落ちそうになるのを手で押さえながら、謎の爆発によって中継クルーが吹き飛んだというようなことを報告した。
 続けてテレビは、大河童によって街は炎に包まれ、同時に足下は洪水になっていると報じた。
 それを聞いた隊長は目を見開いた。
「わかったぞ!」
 隊長はちゃぶ台を拳でどんと叩いた。
 また隊長は天才的なひらめきで大河童を退治する方法を発見したのか、と隊員は思った。
「わかったぞ。答は大河童だ! 上は大火事、下は大水。どうだ」
 あ、そっちか、と隊員は思った。
「はい、せいかーい」
 そう隊員が言うと、これまで眉間にしわを寄せていた表情が一転して明るくなった。
「あー、スッキリした。いやあ、けっこう考えちゃったなぁ」と隊長はにこやかに言った。
 ここで会話は途切れ、再び戦車の中が静かになった。隊長は ちゃぶ台の上に置いた手の指を眺めて、そろそろ爪を切ろうかどうかを考えている。隊員は、 ちゃぶ台に両肘を付いたまま、空の菓子鉢を見て、煎餅を補充しようかどうか考えている。
 テレビは、新しい中継車が現場に到着し、再び大河童の映像を流し始めた。現場のリポーターは、大河童が街の中心部を離れて山へ向かっていると伝えた。火災によって頭の皿の水が乾き始めた大河童は、水場を求めて山間部へ足を向けたのだと、専門家と紹介された老人が話していた。もうこれで大河童による街の破壊はなくなると、リポーターは安堵した。
「隊長、あれ、どうしましょう」
「んー?」と隊長は顔を上げた。聞いていなかったようだ。
「あれですよ、大河童。逃げられちゃいますよ」
「ああ、ね。どうしようね」
「こう道が込んでは戦車も動かせないし、大河童は遠すぎて大砲の弾が届かないし」
「じゃあ大砲の弾が届くところまで、大河童を呼び戻せばいいじゃないか」
「おお、その手がありましたね。でもどうやって?」
「大砲を撃つんだよ。そうすれば大河童も気がつくだろう。なんだろうと思って戻ってくるさ」
「はい、わかりました。撃ちます」
 そう言うと隊員は砲座に座り、遠ざかっていく大河童の方向へ一発大砲を撃った。
 バーン! ズドーン!
 その瞬間、またテレビのレポーターが「ぎゃー!」と言って画面が乱れて黒くなった。
 その音に驚いて大河童が振り向いた。
「よーし、振り向いたぞ」
 いつの間にかハッチから外に身を乗り出していた隊長が言った。
「続けて撃つんだ!」と隊長が命令を下す。
 バーン!
 大河童は最初に一発食らったときのことを思い出した。そして戦車を見つけるなり、形相を変え、戦車を捕まえようとするかのように両手を前に突き出して駆け足で近づいてきた。意外に速い。猛烈な速度で街並みを蹴散らし、土煙を立てながら大河童が突進してくる。
「すごいスピードです!」
 隊員は少し怖くなって叫んだ。
「十分に引き寄せるんだ!」
 隊長は砲撃のタイミングを計っていた。
 誰も見ていないテレビからは、アナウンサーの声が聞こえてくる。
「またしても、謎の爆発によって中継班が吹き飛ばされました。再び局内の報道センターからお伝えします」
 大河童が戦車に迫る。隊長の大河童を見上げる角度が45度ほどに達したとき、大河童は戦車に飛びかかろうとジャンプした。
「今だ、撃てー!」
 ばーん!
 大砲の弾は大河童の腹に命中した。
 その衝撃で大河童はバランスを崩し、そのまま両手を広げてヘッドスライディングをするように腹から地面に倒れこんだ。
 勢い余った大河童は、地面を滑って、戦車の脇を通り過ぎ、背後に建っていた奇抜な形をした建物に頭を激突させて止まった。
 テレビからはアナウンサーが「うわ!」と叫び、がらがらと何かが崩れるような音が聞こえてきた。その後、また放送が途切れてしまった。 
 大河童が滑り込みをした跡は、建造物が根こそぎにされ、長い巨大な道のようになっていた。
 大河童は動かない。撃たれた傷に頭の水を付ける間もなく、一発で絶命した。
「またしても我々の勝利ですね、隊長」
「我々の使命は、あくまで住民の生命と財産を守ることだ。勝ち負けではない」
 隊長は半壊したテレビ局の建物に頭をめり込ませて横たわる大河童の巨体を眺めて言った。
 含蓄のある言葉だと、隊員は思った。しかし、どういう意味なのかは、本当のところはわからなかった。含蓄がありそうだが、意味がわからない。勝たなければ人々の生命も財産も守れないではないか。
 何か意味がありそうなんだが、それを考えるとわからなくなる。すくおうとすると逃げるお風呂に浮く髪の毛のようだ。
 いや、必ず深い意味があるはずだ。この言葉を理解するには、自分の任務への思いが足りないのだ。今あれこれ浅知恵を巡らせても無駄なこと。いつか理解できるときがくるだろう、それが理解できる地球防衛隊員になるよう精進しよう、と自分に言い聞かせた。
 午後の強い日差しを浴びて、大河童の巨大な死体は、すでに匂いはじめていた。
「おお、さすがに大河童は、足が速いな」
 隊長はにこやかに言った。これは冗談だと隊員にもわかった。二人は一仕事終えた安堵感から、大いに笑った。

おしまい



今週のおさむらいちゃん

新作67

ヒトに過剰に気を遣う性格、治したいわ。

今週のおさむらいちゃん

新作66

大吉ほしいなー。大吉が出たからって、どーなるもんでもないけどさ。

新作65

あけまあしておめでごうございます。本年も文豪堂書店をよろしくお願いいたします。
まあ、当方としましては、またこんな漢字の1年なのかと思います。
最初からまことに後ろ向きですが、新年の挨拶とかえさせていただきます。
ぼちぼち体をいたわりながら無理をせず、早寝早起き、深酒を肝に銘じて精進してまいる所存です。
みなさまのご多幸をお祈りします!
プロフィール

Author:文豪堂
いらっしゃいませ。中川善史(自称社長)と金井哲夫(自称編集局長)が2人でしこしこ書いているふざけた電子書籍本を販売する「蕪」式会社文豪堂書店です。(社名は予告なく変更することがあります) (なおこれは個人の感想です)(効能を保証するものではありません)(おだてると調子に乗ります)

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