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みなさまと共に歩む…… (*個人的な感想です)

社長の業務:ショートストーリー『がっかり部』

社長1初会議 部長の挨拶
「諸君、我が社の『がっかり部』創設初の会議である。我が部は周知のように、社内各部から精鋭を選りすぐって作られたセクションである。そして、その任務は当然名前のごとく『がっかりすること』である。社長も、このがっかり方面への新たな挑戦に、大きな期待を寄せておられる。どうか、各自、気を引き締めて業務に当たってもらいたい」

月次定例会議
部長「では、それぞれ、今月のがっかりを発表してもらおう。まず、山本くんから」
山本「はい、今月の私はがっかりの連続です」
部長「ほう」
山本「息子が大学受験でして、第一志望の船橋ケンブリッジ大学、第二志望の津田沼スタンフォード大学、第三志望の千葉マサチューセッツ工科大学と立て続けに落ちまして、3連続がっかりです」
部長「それは、がっかりだな」
山本「さらに、第一滑り止めの品川切れ痔大学、第二滑り止めの川崎おなら大学、第三滑り止めの鶴見水虫大学もすべて落ちました。浪人決定です」
部長「おい、最後の鶴見水虫大学は、私の出身大学だぞ」
山本「こりゃまた、がっかり」
部長「それは、私のがっかりだ。私のポイントだ」
山本「しかし、部長、我が子ながら息子は期待できます。来年も確実にがっかりさせてくれるでしょう」
部長「いい息子さんを持ったな」
山本「はい。向こう十年くらいは浪人してもらわなければなりません。受験勉強してたら邪魔してやります」
部長「力強い言葉だ。では、続いて山中くん」
山中「はい、こないだの連休に家族旅行をしようと思って新幹線の切符を取ってあったんですが、全員、寝坊して乗り遅れました」
部長「それは、がっかりというよりうっかりだな」
山中「うっかりして、がっかりしました」
部長「ちょっと、がっかりとしては純度が低い。0.7ポイントくらいだな」
山中「それは、がっかり。あ、1ポイント」
部長「0.1ポイントくらいだ」
山中「またまた、がっかり」
部長「君は、小さながっかりを狙いすぎるな。もっと、大きながっかりに挑戦したまえ」
山下「部長、僕のがっかりはすごいです。僕の人生は、もうおしまいです」
部長「本当かね、山下くん・・・山中くん、山下くんを見習わなきゃいかんよ・・・じゃ、山下くん、聞かせてくれたまえ」
山下「はい、密かに心を寄せていた経理の大島さんが結婚してしまいました」
部長「それで人生終わりという事もないだろう」
山下「総務の柏木さんも結婚してしまいました」
部長「そうだったな」
山下「しかも、資材の渡辺さんも結婚してしまいました。ショックです」
部長「最近、我が社は慶事が多いのだな」
山下「さらにあろうことか、営業の小嶋さんまで結婚してしまいました。とどめを刺された思いです」
部長「なんだかんだ言って、君は気が多いだけじゃないのかね」
山下「でも、部長。僕の気の多さは、それだけ、がっかりのネタが多いという事になると思いますが」
部長「なんか、軽いんだよな。男なら、もっと一途に追求して、どーんとがっかりしてもらいたい」
山内「部長、私のがっかりを聞いて下さい。これは、スケールが大きいです」
部長「おお、山内くん、期待しているぞ」
山内「この間、家族で動物園に出かけまして」
部長「スケール、大きいんだよね?」
山内「まず、パンダが寝ていて、ちっとも動かないのでがっかり」
部長「それで?」
山内「ライオンも寝ていてがっかり」
部長「なんだかなあ」
山内「楽しみにしていたんです。ライオンが雄々しく吠える様を想像して期待してたんです」
部長「それだけかね」
山内「トラに至っては、奥に引っ込んだっきり出てこないで、大変ながっかりです」
部長「君、それのどこがスケールが大きいんだ」
山内「地球規模のがっかりじゃないですか。パンダは中国、トラはインドシナ、ライオンはアフリカ。世界を股にかけたがっかりです」
部長「動物園は、どこにあるの」
山内「上野です」
部長「入場料は?」
山内「一人600円」
部長「いいかげんにしろー!」

翌月・定例会議
部長「諸君、喜んでくれたまえ。君たちのがんばりのおかげで、私は社長に就任することになった」
部員「えーーーー!」
部長「なんだ、その余りにも意外そうな声は」
部員「おめでとうございます」
部長「ありがとう、ありがとう」
山本「そうなると、今の社長はどうされるんですか。会長になるとか?」
部長「役立たずの能なしのスットコドッコイの穀潰しだ」
山本「そ、そんなこと言っていいんですか」
部長「いいもなにも、『役立たずの能なしのスットコドッコイの穀潰し』という役職に就くんだよ」

翌朝、山本は通勤電車の中で某経済誌の吊り広告を目にする。
「経済界の風雲児、スティール・デブ氏に独占インタビュー!私は、この組織改革で会社を急成長させた!社長という名称をやめて『役立たずの能なしのスットコドッコイの穀潰し』に!さらに社内一の役立たずの能なしのスットコドッコイの穀潰しを『社長』に!」

「がっかりだ・・・」
 山本は呟いた。

 その後、我が国の財界トップが我も我も、と競うように『役立たずの能なしのスットコドッコイの穀潰し』を名乗るようになったこと、いうまでもない。
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Author:文豪堂
いらっしゃいませ。中川善史(自称社長)と金井哲夫(自称編集局長)が2人でしこしこ書いているふざけた電子書籍本を販売する「蕪」式会社文豪堂書店です。(社名は予告なく変更することがあります) (なおこれは個人の感想です)(効能を保証するものではありません)(おだてると調子に乗ります)

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