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中川社長のショートストーリー『病床六万尺』その2

病床2 第一回から、ずいぶんと間が空いてしまった。この間、一部のひとの御期待には反することになるが、死んでしまったわけではない。さらに、先ほどまで死んでいたが、今、生き返ったという、荒技を見せたわけではない。
病人といえど忙しいのだ。ごろごろしたり、のらくらしたり、うだうだしたりと、息つく暇もない。
いや、筋肉が落ちてしまっているせいか、実際、なんと言うこともない用事をするにもエラくくたびれるのだ。なにか一つやっては、横たわってしばし休息しなければならない。そして、この「しばし」は伸縮自在であってぐっすり眠り込むことまで含まれる。
そんなこんなで、「世界一忙しい男」として、過ごしいていたのである。

そうそう、そう言っている私はこれを書いている時点では、すでに自宅で抗がん剤治療を開始しているのであった。一方、文章の方は(ここでようやく第一回のつづき)
急遽、有無を言わさず病院に入院するつもりで来い、というとこまでいったのであった。
医者にあれやこれやと聞かれた後、CTだの胃カメラだのレントゲンだの、あれだのこれだの、覚えていられないくらいの検査を受け、医者と看護士としては、それでもまだ検査したりないらしくて
「まだ、やっていない検査はないかな」
「梅毒と水虫の検査がまだですが」
「さすがに、それをやるわけにもいくまい。他にないかな」
「あ、星占いと四柱推命とコックリさんがすんでません」
など、綿密この上ない検査の末、ふたたび診察室に通されて、
「あなたは胃ガンです」
宣告であった。
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