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金井哲夫の入院日記 その6「もう一回入院しましたー!」

入院日記6何かと楽しい入院生活を無事に終えたものの、石が詰まった胆嚢を放置しておけば、いつかまた確実に激しい腹痛に襲われる。病院勤めの女房はナースの友人たちに事情を話すと、「えー、なんで取っちゃわないの?」と口を揃えて言うそうで、やっぱり胆嚢とは取っちゃうものらしい。石だけ取り除くという芸当はできないので、外科的な処置は胆嚢摘出しかない。そんでもって決意して、主治医の先生に話すと、さすがに外科医だけあって、ニヤリと嬉しそうな顔をした。やっぱり、外科医と生まれたからには、すべての患者の腹を切って臓器を手にしなければ気が収まらないのだろう。

そうしたわけで、9月2日にまた入院することになった。朝、病院へ行って手続きをすると、コロナのPCR検査と、検査抗体検査を兼ねた採血が行われた。いつものごとく、担当者はボクの腕をなで回して、少々困惑しつつ血管を探す。「あ、ありました」とやっと目標地点を発見すると、「ちょっとチクッとします」と決まり文句を口にするや針を突き刺した。痛さは中程。そこから成否を推測するのは微妙な感じ。

針を刺して少し待つが、ぜんぜん血が出てこない。「あれー?」とまたしても他の看護師と同様の反応。この「あれー?」も「ちょっとチクッとします」とセットの決まり文句になってきた。「すいません、やり直していいですか?」と聞くので、ダメだとは言えず承諾した。そうして腕をかえて、なんとか採血に成功。しかし、採血後の大きな絆創膏が両腕に付いているという、通常ならあり得ない馬鹿みたいな形になってしまった。

その格好のまま病室に案内された。前と同じのお馴染みの部屋だ。だけど、ベッドは前回ポケモン少年が寝ていた場所。カーテンを閉めちゃえばどこも同じなので、ベッドがひとつズレても大して変化はない。しかし、身の回りのものを片付けて病衣に着替えホッしたころ、婦長さんがやってきて「折り入ってお願いが……」と切り出してきた。なるべく入口に近いところに高齢の整形の患者さんを入れたいので、ベッドを移ってもらえないかとのことだった。今なら、窓際と、このひとつ隣が空いてますと言うので、ボクは「隣でいいよ」と答えた。

ボクは電車でもなんでも窓際派なので、1週間滞在するこの病室で窓際がゲットできればさぞ快適だったろうと思うのだけど、どうも「じゃあ窓際で」とは、なんか厚かましいようで、がっついているようで言えなかった。そして、半分後悔しつつ前回と同じベッドに収まり、さっきの場所には足を骨折したじいさんが入り、すぐその後に、もしかしたらボクが陽光を浴びつつ、おもての野球グラウンドで少年たちが白球を追いかける様子を眺め心を癒やしていたかも知れない窓際のベッドには、別のじいさんが入った。

ボクが前回と同じベッドに収まり本を読んでいると、窓際じいさんの担当になった若い女性看護師さんの声が聞こえてきた。
「窓際でよかったね」
するとじいさんも「うん、よかったよー」と、なんだかすごく嬉しそうだった。それを聞いて、ボクはこっちのベッドを選んでよかったと思った。

2回目の入院は、かくして無事に、というか想定内のあれこれを含みつつ始まった。今回は、ゲロゲロじいさんもいない、うるさい少年もいない、気になる青年もいない。昼間はじつに静かな病室で、ちょいと拍子抜けだと感じていたのだけど、いやいや、世の中そう甘くはなかったのであります。

つづく


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